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オーロラ観測のノウハウ


オーロラ観測のベストシーズン

オーロラ観測ができるのは極地のため、太陽が沈まない夏場はオーロラ観測はできない。空が暗くなり、星が見えれば観測可能であるが、いつ現れるかわからないオーロラを見るためには、夜の時間が長いほうがよい。そのため観測に適した時期は、10月から3月の冬場ということが言えよう。ただでさえ天候が悪い極地の冬にあって、2月3月は天気も比較的安定し、オーロラ観測のベストシーズンである。

気温が低いとオーロラがよく出ると言われているが、気温とオーロラ出現との関連性はない。ただ気温が低いほうが空の雲が晴れ、よりオーロラが見やすくなるから、そのように言われているだけであろう。


オーロラ観測の服装

時々マイナス40度以下になることもある極地の気温に、耐えうるそれなりの装備が必要である。保温性があり、防風性の高いものがベストである。スキーウェアや登山用ジャケットに厚手のセーターやトレーナー、長袖のシャツ等を重ね着し、特に首周りを念入りにする。パンツはスキーパンツのようなものを用意し、さらにその下にジャージ等を重ねてはく。

帽子は毛糸のもので、必ず耳が隠れること。手袋は軍手の厚手の物がよい。スキー用手袋だと、写真撮影をするときにうまくカメラを操作できない。靴下もダウン素材の上に、登山用ソックスを重ねてはくと効果が期待できる。靴は少なくとも足首が隠れ、底が厚いものがよい。少し重いが登山靴がこれに合致する。この他にあったほうがよいものは、使い捨てカイロ。特に靴の底に入れておくと、地面からの寒さは防ぐことができる。

しかしマイナス10度程度なら、以上のように日本から用意できるものでもよいが、マイナス20度以下となると現地で用意されている防寒具を借りたほうが賢明である。レンタル防寒具には上下スーツ、ブーツ、帽子、手袋が一式となって、3日間でC$100程度である。


オーロラの写真撮影方法

過酷な自然状況の下での写真撮影は過酷を極め、さらに細心の注意を払う必要がある。まず最低必要なものは、一眼レフのカメラ、三脚、レリース、感度400以上のフィルム、カメラが入るビニール袋、ペンライト、赤色のセロファン、電池の換え、携帯用カイロである。

カメラのレンズは広角レンズや魚眼レンズがよく、F2.8以下のF値ができるだけ明るいほうかよいが、F3.5-4.0でも十分写る。フィルムの感度はISO400が最もよく、高くてもISO800までにしたほうがよい。それ以上の感度のフィルムだと長時間露出にあまり耐えられず、出来上がった写真がざらつく場合が多い。

オーロラを撮影するためにはできるだけ感度がよいフィルムの方がよい様に思われがちだが、感度800以上のフィルムはもともと長時間露出をするために開発されたものではないことを、念頭においてほしい。 シャッタースピードの目安は、感度400のフィルムでF値が2.8のレンズの場合、だいたい15〜30秒といったところ。あまり長時間露出をすると、せっかくのカーテン状のオーロラのヒダがつぶれて、不鮮明になる。

僕は感度400のフィルムに、F3.5のレンズで30秒の露出で撮影をし、十分にオーロラが写った。オーロラを写真に撮ると、肉眼では確認できなかったオーロラの色まで鮮明に写る。

以上のことをまとめると、三脚にカメラをセットしレリースを付け、北から北東の方向にカメラを向ける。レンズをできるだけ広角の位置にしておき、シャッタースピードを20〜30秒またはBULBにセットしておく。後はオーロラが出現するまで、寒さに耐えながら待つだけである。

オーロラを撮影するために、いくつかの注意点がある。まずは手袋である。スキー用手袋のようにあまりにも厚手のものは、カメラ操作に支障をきたすため、手袋は軍手を2枚ほど重ねる程度がよい。 またカメラのモードを設定するためには、ペンライトが必要不可欠であるが、利用するときには光の部分に赤いセロファンを付けること。こうすることにより、光の分散はある程度避けられ、オーロラを撮影している他の人に迷惑がかからない。

さらにフラッシュライトを利用した撮影は絶対しないこと。これは別にオーロラを撮影していなくても、周りにオーロラを撮影している人がいたら、絶対にやめるべきである。高感度フィルムを利用しての撮影は、わずかな光でも命取りだということを忘れないでほしい。昨年、オーロラを撮影している僕の隣で、日本人の若い女性のグループがマナーというものをわきまえずフラッシュを利用して記念撮影をしていたが、大きな迷惑である。このような人達は、ここにいる資格などない。

次は電池の問題である。手動式シャッター(マニュアル)のカメラなら問題はないが、電子シャッターのカメラの場合、高山に登ったことがある人なら経験があると思うが、寒冷地に行くと換えたばかりの電池であってもその能力は著しく低下し、最悪シャッターが切れなくなってしまう。

これを避けるためには、オーロラの出現を待っている間、カメラの電池の部分に携帯用カイロを巻きつけ、能力低下を防ぐために温めなければならない。よくレンズをカイロで温めている人がいるが、これは湿度が高い場所でレンズが結露するのを防ぐためなので、もともと湿度が低い極地では無意味である。

また雨上がりの後など、多少湿度が高い場合は、PLフィルターがあれば便利である。これは空気中の水分によってオーロラの光が乱反射するのを防ぎ、湿度が低い状態と同じような写真を撮ることができる。

次にカメラはいったん屋外へ出したら、撮影を終えるまで小屋の中などの温かい場所にもって入らないこと。もしもって入ってしまうと、瞬間にレンズが曇り、再びその状態で屋外へ出るとあっという間に結露して、撮影ができなくなる。これをしてしまったある日本人が、レンズが凍って撮影できないと大声でぼやいていた。そしていざ撮影を終えると、屋外でカメラを三脚からはずし、カメラをビニール袋に入れて口を閉じてから小屋などに入ること。

そうしないとカメラに露がつき、カメラを痛める原因になるし、最悪の場合フィルムに露がつき、せっかくの写真を無駄にしてしまうことになる。さらにフィルムの巻き上げも、慎重にしなければならない。気温が低いとフィルム自体の弾力性が無くなり、さらに乾燥しているので不用意にフィルムを巻き上げると静電気を発し、フィルムが感光してしまうことがある。これを防ぐためには、屋外でのフィルムの巻き上げは避け、小屋の中など暖かい場所にしばらくおいてから、巻き上げを開始したほうがよい。

最後にデジタルカメラによるオーロラ撮影について触れておく。昨今、一眼レフのデジタルカメラの値段がこなれてきており、中古なら3万円程で手に入るようになった。これらデジタル一眼レフカメラは、オーロラ撮影でも強力な威力を発揮する。

ちなみに民生のデジタルカメラでも長時間露出や高感度撮影が可能であれば、オーロラは十分撮影できる。僕はインオンザレイクでのオーロラ観測のときは、ニコンのクールピクス990で撮影したが、写り具合こそ銀塩カメラに及ばないものの、当時簡単にオーロラが撮影できたことに大変驚いた。

現在ではデジタル一眼レフカメラが主流となってきており、オーロラの写り具合も銀塩カメラに肉薄してきていると思う。デジタルカメラのよいところは、何といっても撮影したその場で結果が見られることである。写り具合に不満を感じたら、その場で露出値や絞り値を変えて、再び撮影できる。唯一、バッテリーの問題だけクリアすればよい。

オーロラを撮影するときの、僕のデジタルカメラの設定は、感度400・シャッタースピード15-20秒・ホワイトバランス太陽光といったところである。これでおもしろいようにオーロラが写った。気温がマイナス20度以下のため、デジタルカメラが天然の冷却CCDカメラと化し、長時間露出をしても心配していたCCD特有のダークノイズがほとんど発生しなかった。

どうしても細かいノイズが気になる場合は、デジカメのレンズにふたをして、オーロラ撮影に要した時間と同じ露出時間分の画像(ダーク画像)を撮影しておこう。その画像は黒の背景に、さまざまな色をした点(ノイズ)が写っているはずである。CCDには同じ条件(画像サイズや外気温や露出時間など)で撮影した場合、画像の同じ場所に同じ色や大きさのノイズが出るので、あとはパソコン上でフォトレタッチソフト「Adobe PhotoShop」などの演算機能(減算)を利用して、オーロラが写っている元画像からダーク画像に写っているノイズのみを引けばノイズは完全に消える。

以上、いろいろと書いてきたが、わかっていただけただろうか。それでは細心の注意を払って、よいオーロラ写真が撮れることを心からお祈り申し上げる。


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