世界で最も有名なフォルクローレの曲かも知ればいが、もはや「コンドルは飛んでゆく」は民謡の部類であり、古臭いのである。彼らは自分たちのオリジナルの曲を演奏したがっているのであり、「コンドルは飛んでゆく」は観光客のために演奏せざるを得ないのである。
先ほど僕がフォルクローレグループを結成したことを話したが、演奏に使う楽器は現地で仕入れることになった。フォルクローレの楽器はペルーなどでも売っているが、良質なものを求めるならばやはりボリビアのラパスがよい。僕は再び、ボリビアへ行くことになった。
フォルクローレの楽器には、ケーナと呼ばれる日本の尺八に似た縦笛やサンポーニャと呼ばれる葦でできた連管笛、小さなギターのようなチャランゴ、ボンボと呼ばれる太鼓などがあり、これにナイロン弦のクラシックギターが加われば、殆どのフォルクローレの曲を演奏することができる。
ペーニャ「ナイラ」があるサガルナガ通り周辺には、有名な楽器屋がいくつかある。中でも「アチャ」と「ガンボア」は僕が好きなフォルクローレの楽器のメーカーで、両方とも同じ建物に入っている。
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アチャ、ガンボア共にもともとはチャランゴ(小さなギターのような弦楽器)の店として始まったが、今ではフォルクローレの楽器を全般的に扱う店になっている。アチャは全体的に値段は高めだが、質のよいチャランゴやケーナを売っていた。
ケーナは竹でできたものの他、木でできたものもあった。チャランゴは良いものでUS$250、ケーナは木製のものがUS$30〜40、竹製のものがUS$15〜20といったところだった。
一方ガンボアは良質なサンポーニャの品揃えが豊富であった。ガンボアのサンポーニャは葦の一本一本にある程度の厚さがあり、割れにくいのが良いところである。値段も手ごろで、よく使うサンポーニャマルタ(標準的な大きさのサンポーニャ)がUS$15〜20で売られていた。
この他にもサガルナガ通り周辺には良質なケーナを売っている「ワフチャ」と呼ばれる店もあり、時間があったら一軒一軒まわるのも楽しい。結局この時は、ケーナとサンポーニャをそれぞれ8本、チャランゴを2本購入して日本に帰国したのだった。
21世紀になってかなりの時間が経過したが、現在のボリビアのフォルクローレ事情はどうなっているのか気になる。僕としてはボリビアのフォルクローレが、かってのような輝きを取り戻してくれることを切に願ってやまない。
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グルーポコカ
1980年代から1990年代の「ナイラ」の全盛期を代表するグループで、多くのグループがグルーポコカを目指していた。その迫力ある演奏が忘れられない。
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ヌエバスライーセス
主にタキラリのリズムを得意とするバンドで、その歌唱力も定評があった。グルーポコカ同様、「ナイラ」の全盛期を 支えたグループの一つ。
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タキパヤス
フォルクローレ版コミックバンドといったところ。客の笑いを取る語りを得意としているが、演奏の実力もかなりのもので、多くの固定ファンを持っていた。
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フォルクローレの楽器
小さなギターはチャランゴ、縦笛のようなものはケーナ、連管笛はサンポーニャと呼ばれている。中央のサンポーニャはサンポーニャマルタ、左端の大きいものはサンポーニャサンカと呼ばれている。ここには写っていないが、サンポーニャにはこの他にも最も小さいサンポーニャイカ、最も大きいサンポーニャトーニョと呼ばれるものもある。ちなみに右下に写っているケーナは、ペーニャ「ナイラ」のオーナーであるエルネスト・カブール氏の弟でありケーナの名奏者でもあるルーチョ・カブール氏が愛用していたケーナ。めぐりめぐって今、僕の手元にある。ケーナの下のほうに本人のサインが彫られている(写真をクリックすれば、拡大表示します)。
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