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ラパスで本場のフォルクローレを聴く

南米のアンデス地方を代表する音楽として、フォルクローレと呼ばれる音楽がある。あの「コンドルは飛んでゆく」の哀愁漂うメロディ。大半の日本人はフォルクローレと聞くとこの曲を思い浮かべると思う。「コンドルは飛んでゆく」はペルー民謡で、後にアメリカのサイモンとガーファンクルが自分の曲としてアレンジしてから、日本にもその名を知られるようになった。

このことからフォルクローレは特にペルーで盛んと思われがちだが、実は違う。南米中を旅行してみると、フォルクローレの中心がボリビアであることに気づくだろう。ボリビアの首都ラパスにはフォルクローレを聴かせるペーニャと呼ばれるライブハウスがいくつかあり、夜の10時半頃から演奏が始まる。悲しいことに今ではそれらペーニャも時代の流れと共に廃れてしまったが、1980年代の全盛期のペーニャは、毎晩のように迫力あるフォルクローレを聴かせてくれた。


ボリビアの首都・ラパスのサガルナガ通り
中央にサンフランシスコ寺院が見える。
ラパスには「ナイラ」をはじめ、「ロスエスクードス」、「カサデコレヒドール」、美しいアボリナールハエン通りにある「マルカタンボ」といったペーニャがあるが、最も有名なのがサガルナガ通りにあるペーニャ「ナイラ」であろう。

ナイラはボリビアの人間国宝でもあるチャランゴ奏者のエルネスト・カブール氏が経営するペーニャで、このナイラから数多くの有名なフォルクローレグループが巣立っていった。一例を挙げると、グルーポ・コカ、ルーパイ、ロス・ケチュアス、ヌエバス・ライーセス、タキパヤス、ノルテ・ポトシ、ルス・デル・アンデなどきりがない。

1980年代から1990年代前半にかけてのナイラでは、まさに彼らの演奏が毎晩のように聴けて、その時期にそこにいた僕は幸運だったのかもしれない。

とにかく迫力があった。それまで僕はフォルクローレをそれほど深くは知らなかったが、初めてナイラに行ったときになんともいえない感動か体中に走った。演奏を聴いているうちに、不思議なことに目から涙が次々とこぼれ落ちるのである。もしかしたら僕が追い求めていた音楽は、このフォルクローレなのかもしれないとそのとき思ったのだった。


ラパスの夜景


ラパスのハエン通り
何故かこの通りだけ、ラパスらしくない。

ラパスのハエン通りのある、
ペーニャ「マルカタンボ」

「アチャ」でフォルクローレの楽器を買う。
余談ではあるが、その後帰国した僕は、同じくボリビアやパラグアイ帰りの日本人と偶然知り合い、金沢でフォルクローレグループを結成するに至ったのだ。

まあへたくそではあったが、金沢にある南米料理の店や中南米関係のイベントなどで定期的に演奏もしていた。今思うと、あんなへたくそな演奏をよくもやったものだと、今更ながら恥ずかしくなってしまう。

通常、ペーニャは1日に6〜7組程度のグループが順番に演奏をする。フォルクローレにはクエッカ、タキラリといったいくつかの演奏パターンがあり、ディアブラーダと呼ばれる悪魔の踊りも必ず演奏される。

また「コンドルは飛んでゆく」も必ずどのグループかが演奏してくれるが、実は現在のフォルクローレグループにとって「コンドルは飛んでゆく」はあまり好まれていない。


世界で最も有名なフォルクローレの曲かも知ればいが、もはや「コンドルは飛んでゆく」は民謡の部類であり、古臭いのである。彼らは自分たちのオリジナルの曲を演奏したがっているのであり、「コンドルは飛んでゆく」は観光客のために演奏せざるを得ないのである。

先ほど僕がフォルクローレグループを結成したことを話したが、演奏に使う楽器は現地で仕入れることになった。フォルクローレの楽器はペルーなどでも売っているが、良質なものを求めるならばやはりボリビアのラパスがよい。僕は再び、ボリビアへ行くことになった。

フォルクローレの楽器には、ケーナと呼ばれる日本の尺八に似た縦笛やサンポーニャと呼ばれる葦でできた連管笛、小さなギターのようなチャランゴ、ボンボと呼ばれる太鼓などがあり、これにナイロン弦のクラシックギターが加われば、殆どのフォルクローレの曲を演奏することができる。

ペーニャ「ナイラ」があるサガルナガ通り周辺には、有名な楽器屋がいくつかある。中でも「アチャ」と「ガンボア」は僕が好きなフォルクローレの楽器のメーカーで、両方とも同じ建物に入っている。

アチャ、ガンボア共にもともとはチャランゴ(小さなギターのような弦楽器)の店として始まったが、今ではフォルクローレの楽器を全般的に扱う店になっている。アチャは全体的に値段は高めだが、質のよいチャランゴやケーナを売っていた。

ケーナは竹でできたものの他、木でできたものもあった。チャランゴは良いものでUS$250、ケーナは木製のものがUS$30〜40、竹製のものがUS$15〜20といったところだった。

一方ガンボアは良質なサンポーニャの品揃えが豊富であった。ガンボアのサンポーニャは葦の一本一本にある程度の厚さがあり、割れにくいのが良いところである。値段も手ごろで、よく使うサンポーニャマルタ(標準的な大きさのサンポーニャ)がUS$15〜20で売られていた。

この他にもサガルナガ通り周辺には良質なケーナを売っている「ワフチャ」と呼ばれる店もあり、時間があったら一軒一軒まわるのも楽しい。結局この時は、ケーナとサンポーニャをそれぞれ8本、チャランゴを2本購入して日本に帰国したのだった。

21世紀になってかなりの時間が経過したが、現在のボリビアのフォルクローレ事情はどうなっているのか気になる。僕としてはボリビアのフォルクローレが、かってのような輝きを取り戻してくれることを切に願ってやまない。



グルーポコカ
1980年代から1990年代の「ナイラ」の全盛期を代表するグループで、多くのグループがグルーポコカを目指していた。その迫力ある演奏が忘れられない。

ヌエバスライーセス
主にタキラリのリズムを得意とするバンドで、その歌唱力も定評があった。グルーポコカ同様、「ナイラ」の全盛期を 支えたグループの一つ。

タキパヤス
フォルクローレ版コミックバンドといったところ。客の笑いを取る語りを得意としているが、演奏の実力もかなりのもので、多くの固定ファンを持っていた。





フォルクローレの楽器
小さなギターはチャランゴ、縦笛のようなものはケーナ、連管笛はサンポーニャと呼ばれている。中央のサンポーニャはサンポーニャマルタ、左端の大きいものはサンポーニャサンカと呼ばれている。ここには写っていないが、サンポーニャにはこの他にも最も小さいサンポーニャイカ、最も大きいサンポーニャトーニョと呼ばれるものもある。ちなみに右下に写っているケーナは、ペーニャ「ナイラ」のオーナーであるエルネスト・カブール氏の弟でありケーナの名奏者でもあるルーチョ・カブール氏が愛用していたケーナ。めぐりめぐって今、僕の手元にある。ケーナの下のほうに本人のサインが彫られている(写真をクリックすれば、拡大表示します)。
 

 

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