ニカラグア
 多くの湖、火山、ジャングル、カリブ海のサンゴ礁の小島など、この国には美しい観光資源が豊富だが、残念なことに1970年代のソモサ一族による独裁と圧政、1980年代のアメリカがからむ不幸な内戦で国は廃れきっていた。私が訪れた1988年でも首都マナグアは1972年に起きたマナグア大地震の跡が廃墟のまま残り、崩壊寸前の国の様相を呈していた。スーパーマーケットに行っても店の棚には商品がなくがらんとしており、また天文学的数字のインフレで国全体がブラックマーケット化していた。軍服の葬式も日常茶飯事で、マナグアでは毎日のように見られた。
 現在は内戦も終わり、貧しいが復興の第一歩を踏み出している。

 


1972年のマナグア大地震の爪跡。世界中から送られた多額の義援金は都市復興には使われず、すべてソモサの懐に納まった。

カテドラルもこの通り。中に入ると、天井が崩壊していてなかった。


マナグア湖。水質汚染がひどく、泳ぐこともできない。ものすごい悪臭を放っていた。


 

マナグアのインターコンチネンタルホテル。マナグアは電力不足から毎日夜は停電していたが、このホテルだけは別だった。真っ暗闇の中に、ひとつだけライトアップされた建物を見ていると、何かこの国を象徴している風景に思えてきた。