コンゴ内戦は一応、モブツのだらしない政府軍とローラン・カビラ率いる反政府組織との戦いの構図になっているが、その他にもザイール国内の様々な武装組織も加担していて、より複雑になっていた。その中にはマイマイと呼ばれる武装集団のように、全く政治的な考えが無く、ただうっぷんばらしのために戦闘をしている狂った集団もあった。
マイマイはほとんどが10歳代の若い武装グループで、水撒き用のホースをアクセサリーにしており、さらに草でできた帽子をかぶっていて、その帽子をかぶると自分たちが透明人間になるのだと信じている。一応、自分たちの村を守るためという大義名分はあるようだが、まわりから見ているとただ治安を乱しているだけの集団としか思えない。内戦中は政府軍、反政府軍からも目の敵にされ、多くの死者を出した。
余談ではあるが、アフリカには実にユニークな武装組織や兵士が多く、それらが各地の内戦をさらにややこしくしている。例えば西アフリカのリベリアでは内戦中、裸のままで戦闘に参加する「おしりまるだし将軍」と呼ばれた兵士がいたそうだ。そのあまりにもユニークな戦闘スタイルから、西側諸国のバックパッカーの間で人気が高まり、ファンクラブまでできたそうである。
末端のザイール兵も、その戦闘スタイルはマイマイには負けてはいない。彼らの武器はというと、原始時代さながらの槍や棍棒だった。それで白兵戦に挑むそうだが、槍や棍棒での戦いは意外にも死者は多数出ないようである。但し、そのぶん負傷者がやたらと出るようである。町をうろついている末端のザイール兵の中にはマシンガンを持っているものもいるが、はたして使い方を知っているのか疑問である。
町で暴動まがいのことが起こっても、僕は結局ザイール兵が発砲したところを見なかった。ただいきなり暴発されると、もともこもない。またザイールにはダワと呼ばれる習慣がある。ダワとは一種のまじないのようなもので、戦闘の前に祈祷師にダワと呼ばれるものを体に注入してもらうと、敵の弾が飛んできても自分の前で落ちるとされている。
しかし戦闘中に恐怖心を頭にいだいてしまうと、ダワの力が薄れ、効力をなくすとされている。つまり戦闘で死んだ者は、恐怖心を持ったためだと片付けられてしまうのである。ザイール兵は今でもダワの力を信じており、実際ダワのおかげで助かったと胸を張っているザイール兵は多い。いずれにせよ迷信的な習慣であるが、アフリカではこれに似たケースが少なからずある。先ほどのマイマイのケースもそうだが、スーダン内戦では体にナツメヤシのオイルを塗れば敵の弾を防げると信じた兵士が、戦闘で多数の死者を出した事件などがよい例である。
ザイールは世界でも有数のマウンテンゴリラの生息地でり、ビルンガ国立公園などではマウンテンゴリラを見に行くツアーが行われている。また北キブ州は多くの湖や火山が点在する風光明媚なところであり、特にニーラゴンゴ火山は山頂火口に世界でも珍しい活動中の溶岩湖がある。その他ザイールは多くの観光資源に恵まれているが、先述のような諸事情のため、これらを容易に訪れることができないのが非常に残念である。ザイールは今思えば僕にとって、あまりにも刺激的で思い出深い国になったことには間違いが無く、今後事態が落ち着けばもう一度ザイール(コンゴ)に行ってみたいものである。
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